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その瞳に…
第3章 本性
スタッフルームを出て、舞奈はカウンターにまわる。
店内は夜の部が始まったばかりで、人が少ない。その為、大河はすぐ見つかった。
大河は、入り口から一番遠い角席に一人で煙草を吸いながら座っていた。

(先生、煙草吸うんだ…それに私服の先生ってだけで、ドキドキする)

舞奈はカウンターから、大河をじっと見つめた、その時、大河がこちらに振り向いた。

(ヤバっ!)

舞奈はとっさに腰を屈める。

(見つかりません様に!)

目をぎゅっとつむり祈る、が。

「…綾部…?」

頭の上から大河の声がかかる。
舞奈はそーっと上を見るとカウンターから中を伺う大河と目があった。

「あ~…先生、今晩は、です」

しどろもとろと挨拶をする。場所が場所だけに、流石に見つかるのはヤバい。
学校に報告されたら、説教か最悪停学。従兄弟に荷物届けに来たとかで誤魔化せないかな…等と舞奈は思った。

「綾部、何でここに?」

怒鳴りはしないが、明かに怒ってような静かな問いかけだった。

「えっと、あの…」

その声音に舞奈は不謹慎ながら、ドキドキした。それを悟られまいと、顔を伏せる。

「マスター、この子の知り合いですか?」

怒られて気まずいと勘違いした大河はマスターに声をかける。
マスターは従業員の従兄弟で、用があってきた。と説教してくれた。
啓介も、自分が従兄弟だと説明した。

「貴方の従兄弟?綾部が…?では、綾部は貴方とマスターの事も知ってるんですか?」

啓介は大河の問いかけに、頷く。

「…じゃあ、この子は、この店の事を知ってるんですよね」
「えっ!」

いつの間にかカウンターの中に入って来ていた大河に、舞奈は腕をぴっぱられる。

「マスター、啓介さん。この子を借ります」

そう言い、大河はカウンターに千円を置き、舞奈の腕を掴んだまま店を出ていく。
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