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優しい彼の悪魔の顔
第6章 ドライブ
ミコは少し期待をしかけた自分に青ざめる。


…やっぱり。



いやだ。
あんな恥ずかしいこと、もうやだ。

リョーがいやらしく笑うのも、自分があんなに痴態をさらすのも。



けれど、なんでだろう。

ほんとに嫌がったら、ご飯もドライブもしていない。

リョーの言う通り、私は期待してたの?

また、リョーに遊ばれることを?







リョーが駐車場に車をとめる間、ミコは一人で考えこむ。


どうしよう、どうしよう。


ドキドキする。

これは、何に対して?












ミコの考えがまとまらないうちに、リョーは車をとめてエンジンを切る。
そのまま、静かにミコの様子を窺った。


「ミコ?心の準備はできた?」

ミコはとっさに首を振る。

「ミコは賭けに負けたんだから、ちゃんと俺のいうこときかなきゃダメってのは、自覚してるみたいだね」




おとなしくなったミコの様子を見ながらリョーは呟く。


「怖い?」


ミコの今の心のうちをリョーは口にする。


そう、怖い。
リョーがじゃない。
リョーにされることでもない。


自分が、自分じゃなくなるのが。

それに。






この状況を待っている自分がいたことが…。















「考えるよりも、まずは実践だね。ほら、行くよ」



抵抗することもできず、諦めたような表情でミコは車を降りた。
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