この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
優しい彼の悪魔の顔
第8章 電話
リョーからはすぐに着信がきた。
一瞬躊躇ったものの、ミコは通話のボタンを押す。
「ミコー?お疲れー。元気にしてた?」
「うん。リョーも、元気?」
たった数日なのに、携帯から聞こえるリョーの声にミコは懐かしさを感じる。
「元気、って言いたいけど。やーっぱ現場楽しかったなぁ。また挨拶回りばっかりで、くたくた」
そう言いながらも、リョーの声からは疲れなんて微塵も感じられない。
「ミコ、今何してたの?」
ミコは、ついさっきの自分を思い出し、言葉につまる。
まさか、リョーを思い出して、なんて言えやしない。
「ミコ?」
「あ、ごめんごめん。テレビ見ながらビール飲んでた」
「うわ、何それ。独女の贅沢?」
「こら、独女って言うなっ」
いつも通りのやり取り。
こんなどうでもいい会話が心地よかった、少し前までは。
「リョーは?どうしたの、急に」
「どうもしないけど。連絡するって言ったのになかなか連絡できなくてさぁ。なんとなく?」
そう言って笑う。
なんだ、ただ忙しかっただけみたい。
ミコは落ち込んでいた心が元気を取り戻すのを感じた。
そのまま気がついたら1時間ほど、とりとめのない会話をした。
テレビで見たラーメン屋の話。
仕事の話。
リョーが見かけた変なおじさんの話には、ミコは涙が出るほど笑った。
「てかさー」
会話が落ち着いてきた頃、リョーが言い出した。
「こんなに話し込むなら、直接会いに行けばよかった」
「え?」
トクン、と心臓が波打つ。
「俺、この一週間仕事しててもミコのことばっかり考えてた」
ほんとに?
ミコは突然の言葉に、返事ができない。
「ミコー?ちょっと、黙らないでよ、俺が、照れる」
「いや、びっくりして。リョーがそんなこと言うと思わないんだもん」
「ミコは?俺のこと、少しは考えててくれた?」
ミコは、携帯電話を握りしめた。
一瞬躊躇ったものの、ミコは通話のボタンを押す。
「ミコー?お疲れー。元気にしてた?」
「うん。リョーも、元気?」
たった数日なのに、携帯から聞こえるリョーの声にミコは懐かしさを感じる。
「元気、って言いたいけど。やーっぱ現場楽しかったなぁ。また挨拶回りばっかりで、くたくた」
そう言いながらも、リョーの声からは疲れなんて微塵も感じられない。
「ミコ、今何してたの?」
ミコは、ついさっきの自分を思い出し、言葉につまる。
まさか、リョーを思い出して、なんて言えやしない。
「ミコ?」
「あ、ごめんごめん。テレビ見ながらビール飲んでた」
「うわ、何それ。独女の贅沢?」
「こら、独女って言うなっ」
いつも通りのやり取り。
こんなどうでもいい会話が心地よかった、少し前までは。
「リョーは?どうしたの、急に」
「どうもしないけど。連絡するって言ったのになかなか連絡できなくてさぁ。なんとなく?」
そう言って笑う。
なんだ、ただ忙しかっただけみたい。
ミコは落ち込んでいた心が元気を取り戻すのを感じた。
そのまま気がついたら1時間ほど、とりとめのない会話をした。
テレビで見たラーメン屋の話。
仕事の話。
リョーが見かけた変なおじさんの話には、ミコは涙が出るほど笑った。
「てかさー」
会話が落ち着いてきた頃、リョーが言い出した。
「こんなに話し込むなら、直接会いに行けばよかった」
「え?」
トクン、と心臓が波打つ。
「俺、この一週間仕事しててもミコのことばっかり考えてた」
ほんとに?
ミコは突然の言葉に、返事ができない。
「ミコー?ちょっと、黙らないでよ、俺が、照れる」
「いや、びっくりして。リョーがそんなこと言うと思わないんだもん」
「ミコは?俺のこと、少しは考えててくれた?」
ミコは、携帯電話を握りしめた。