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優しい彼の悪魔の顔
第10章 デート
2人は近くのショッピングモールへ。
昨日強引に拉致されたミコは休みなのにスーツのまま。
せっかくのお出かけだから、着替えに帰りたいと言うミコのために、買い物にきたのだ。

「んー、こっちのが色はキレイだけど、でも形はこっちのが好きだしなぁ。んー」

ミコは2つのカットソーを手にして悩む。

「え、こっちにしようよ、この色俺も好きだし」

ミコの右手にあった淡い水色の袖口がフレアになったノースリーブのカットソーをリョーが手にして、そっとミコの体にあてる。

「うん、かわいい」

なんだかそんなやり取りがミコは嬉しくてしかたがない。
ほんとに、デートみたい。

ミコは白い膝上のスカートも購入すると、そのまま試着室で着替えた。



「さて、衣装も整ったことだし、どこに行こうか?」
「んー、このへん、何があるの?」
「なんでもあるよ。ここでこのまま映画見てもいいし、買い物してもいいけど。せっかく天気いいんだから、どこか行きたいよなぁ」



リョーは店員さんに包んでもらったミコのスーツの入った袋を肩にかけながら、何かを考えている。


リョーは、今のこの時間をどう思ってるんだろう。
きっと、周りから見たら私たちはカップルにしか見えないような距離感で歩いている。

とりとめのない会話。
ふとした時にぶつかる視線。

「ミコ?」

気がついたら黙り込んで考えてしまったミコの顔のまえで、リョーは手をひらひらと振る。

「あ、ごめん。ぼーっとしてた」
「あれ?起きたばっかなのに、お疲れ?寝不足だからかなぁ?」

ニコッと笑いながら言うリョーの背中を、ミコは思い切り叩いた。

「確かにここだと人多いし、疲れるなぁ。さっき飯屋の前通ったらこの時間なのに行列できてたし。とりあえず、場所変えるかぁ」

リョーはどこかいい場所が浮かんだのか、突然向きを変えて駐車場に向かう。
あわててミコはその背中を追いかけた
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