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優しい彼の悪魔の顔
第11章 帰り道
幸いなことに、コンビニから出た男性はミコたちのいる車と逆の方へ出て行った。
おかげでミコが絶頂に達したところは見られずにすんだようだ。

肩で小さく息をしながら、じわりと涙が浮かぶ。

「なんで、こんなことばっかり、するの?」

ミコはその目でリョーに問いかけた。

リョーの彼女になれた。
色々なことをされても、純粋にミコはその喜びに浸りたかったのに。
それはたったの一瞬で終わってしまって。
あの夢のような星空から車に戻ったとたん、この現実。
もっと、ゆっくりと、2人の関係を築いていきたくても、リョーはそうさせてくれない。

「こんなことって?」
「私は、普通に今日みたいに買い物したり、夜景見たり。普通に、リョーの彼女になりたい。なのに、なんでこんな恥ずかしいことばっかりするの?」

リョーは返答していいものか、悩んだ。

ポロポロと涙をこぼしながら、それでも上目遣いにきっちりとリョーを見るミコの姿に、リョーはまたしても虐めたい衝動に駆られる。

「ミコは、こういうの、嫌い?」

「…好きじゃ、ない」

「ほんとに?」

ミコは、顔を伏せた。

いつもいつもリョーは余裕で、私ばっかり恥ずかしいことされて。
それを見て喜んでいるリョーを見ると、余計に恥ずかしくなって。

なのに、そうなればそうなるほど、リョーが欲しくなる。
もっと、リョーを近くで感じたくなる。

もっと、もっととリョーを欲してしょうがないのは、今もそう。
横にぴったりとくっついたリョーの体温は、とても居心地がいい。

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