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ただそこに君がいた
第2章 いつからか


『…出来るわけないじゃない。そもそも話合いにもなってないんだから…』

『何だそれ?一方的に切り出されて、何も言えなかったってのかよ?』


らしくねーじゃん。


押し黙った一夏の背中が、離れていく。膝でも抱えて座り直したのか、はたまた背筋を伸ばしただけなのか。姿が見えねーことには、何も分かんねーけど。


『話合いじゃない……留守電に入ってたのよ。それを休憩中に聞いたの。更衣室…替えのタオル取りに行った時にね、たまたま通知に気がついて。いつもだったら、稽古が終わるまでケータイは見ないんだけど…。見たら留守電で、何か急用かもって思うでしょ?それに最近減ってたから、連絡… だからちょっと嬉しくて。すぐに聞いたら、そしたら………。
なんか、頭真っ白になっちゃって…』


顔も姿も分からない。でも、震える声が寒さのせいじゃないってこと…オレには分かるからな、一夏…!



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