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妄想シンドローム
第5章 恋のイベント発生!?




 ――深夜を過ぎても杏璃はベッドの上でのたうっていた。


 真夏のうだるような暑さは部屋を天然の蒸し風呂にし、十年以上酷使されている冷房は、熱帯夜を前にして降参してしまっているようだ。


 日中に行っていたアルバイト先であるアイスクリームショップの、手足の先が凍えるくらいの涼しさが懐かしい。


 ちなみにアルバイトへ出掛ける前に部屋の冷房は効いていて、数時間の間に冷房機具に不具合が生じたらしい。


「あー、もう! なんでこんな時に限って冷房が壊れちゃうかなぁ! ぜんっぜん妄想進まないし」


 暑さは思考力を鈍らせ、執筆が思うように進んでいないのも、杏璃がのたうっている原因の一つだった。


 しかし暑さの関係がないにせよ、杏璃は続きを書けてはいなかったはずだ。冷房がまだ元気に活動していた昨夜から、妄想は一向に進んでいないからだ。


 春馬が帰宅してすぐ、杏璃はパソコンへ向かい、総一とルルが今後どのような行動をとるかを考えた。


 風呂場での性交は、やはりさせないとは決めた。総一とルル双方の置かれる状況を鑑〈カンガ〉みて、合体させるには性急だと思ったからだ。





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