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妄想シンドローム
第7章 意外な正体



◇◇◇◇


 夜の遊園地はまるで異世界だ。


 照明に照らされて回りながら跳ねる馬。虚空を大海原に見立てて揺れる船。宇宙へ旅立つスペースショット。一層仰々しい雰囲気を放つお化け屋敷――。


 昼間とは全く違う幻想的な景色の中、総一はルルと手を繋いで人の少なくなった園内を歩いていた。


 とそこへ閉園を知らせるアナウンスが響く。


「ルル。そろそろ閉園だって。最後に観覧車に乗ろうか」


 ちょうど近くを歩いていて、急げば滑り込みで間に合うかもしれない。


「観覧車ってあれ?」


「そう。あの大きな乗り物」


「わーい! ルル乗りたい!」


「じゃあ急がないとね」


 まだ遊び足りないらしいルルの手を引いて、ゲートに向かう人の波とは逆方向へと小走りで向かう。


 到着して駆け込むと係員は僅かに眉を顰めて唸るものの、ルルが「乗れないの?」と瞳を潤ませると彼は態度をがらりと変えて快く招いてくれた。


 彼の豹変に内心肩を竦めつつ、総一はルルの手を引いて乗り込んだ。


 総一が先に座ると、ルルは対面ではなく横に座る。その当たり前のように、自分の隣にくる彼女の行動に嬉しくなる。





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