この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
妄想シンドローム
第1章 彼女が○○を目指した理由〈ワケ〉



「――お前はこの本を一通り読んでおけよ」


「……あい」


「写真集も目を通しておくんだぞ」


「……あい」


「今後のことは調べ物が終わり次第話す」


「……あい」


 すっかり意気消沈して廃人寸前の杏璃は、春馬の命令に頷くしかなかった。


 だが玄関まで見送り春馬が扉を開ける寸前に、一瞬躊躇したもののやはり伝えておくべきと口を開く。


「春馬、あの……」


 無言で振り返る彼へと視線を向けないまま、杏璃は囁くように言う。


「今日はありがと」


 大好きだった司から酷い仕打ちを受けて、一人だったら一晩中泣き明かしても足りないくらいだった。


 春馬はけして杏璃を甘やかしてはくれない。キツイことを平気で言う。しかしそういう人間は最も信頼に足る。


 春馬には本当の理由を告げなかったが、だからこそ辛いときに呼び出したのが彼だったのだ。


 彼から礼の返答はなかった。だが笑う気配を残して去っていった。


 杏璃にはそれで充分伝わっていた。









.
/248ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ