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妄想シンドローム
第3章 類はなんとやら
同時に水へと手を伸ばす。おそらくだが、お互いに腹を決めたのだ。
由奈を見遣ると彼女の瞳が先に自分が告白すると告げている。杏璃は微かに頷いて、唇を引き結んだ。
どのような言葉が由奈から出てくるのか。その時杏璃はどのようなリアクションを取ればいいのか。
彼女もまた、やむにやまれぬ事情からああいった本を探し求めていたのかも。そう考えた杏璃だったが。
「杏璃ちゃん、私ね……」
こくり。計ったようにまた同時に喉が上下した。
「お……」
「お……?」
「オタクなのっ!!」
「………………は?」
「二次元ラブ! 三次元なんてクソくらえ! それが私の掲げる格言よ!!」
力強く宣言する彼女に、杏璃は呆然となる。
「それだけじゃないの! エロ大好きで、腐女子でもあるの!」
身を乗り出す由奈の勢いに圧され、杏璃は知らずと仰け反った。
「え……あ、うん」
言葉の意味すべてを解してはなかったが、気が付けば頷いていた杏璃である。
それから彼女の告白はこんこんと続いた。
由奈曰く、彼女が二次元に目覚めたのは中学生の頃。年の離れた兄が隠し持っていた漫画を読んでから、その世界に魅入られたのだとか。
以降、彼女は自分でも隠れて本を買うようになり、様々なジャンルへ手を伸ばしつつ今に至るそうだ。
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