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妄想シンドローム
第3章 類はなんとやら
総一は自棄になっていたのだと思われる。
ゴミ箱に丸められた例の広告の電話番号に、呆然とダイヤルしていたくらいには自暴自棄だったのだ。
「ありがとうございます。こちらハッピーペットショップでございます!」
電話越しに聞こえる軽快な女性の声。彼女に総一は告げる。
「可愛くて癒される猫が欲しいんですが、おいくらですか?」と。
すると電話相手の彼女からいくつか質問を受けた。
色は何色がいいか。性格は甘えん坊か素っ気ないのがいいか。性別はオスかメスのどちらが希望か。
それらの質問を踏まえ、値段はなんと驚くことに無料だった。
「ただ今、新規システムの実施に伴いキャンペーン中でして。お客様は運がおよろしい! お客様のご希望に叶う子が、無料でのお届けが可能となっております」
「無料って……ただってことですよね? あとから法外な請求とか来たりしません?」
「そういったことはございません。ペット配送の際に、契約書も同封させて頂きます。その場で目を通して頂き、サインをしてください」
ペット購入に契約書……? ますます怪しさが漂う。
しかし万一、多額な請求をされることになるならば、その契約書とやらをよく読んで、どこにも問題がないか確認をし、コピーなりしておけば大丈夫だろう。
総一は先方に購入する旨を伝え、電話を切った。
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