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want to be ...【短編集】
第7章 温泉旅行 3日目

はぁ、と息を吐いてぎゅっと抱き着くと、優しく抱き締めてくれる。
「重くなかった?あたし…」
「…んーもうちょい太ってもいいと思う」
「えー?えへへへへ」
そのまま、抜かずに湯船の淵に座った蒼汰。
あたしは下半身だけ湯船に浸かってる状態になって、お湯の中で蒼汰の身体に脚を絡めた。
ほわほわと、まだ宙で揺さぶられているような意識の中。
お互い何も話さず、そのままの状態をしばらく続けて。
ゆっくり目を閉じると、蒼汰の息遣いだけじゃなく心音、風に吹かれて葉がこすれる音、虫の鳴き声、露天風呂の水が流れる音、遠くで聞こえる工場の音…
いろんな音がする。
「…ねぇ、聞こえる?」
「…ん」
「美咲さんの声聞こえないかなぁ」
「聞こえねぇな〜」
どっくん、どっくん、どっくん、とゆっくり鼓動する蒼汰の心臓。
…何だか面白くなってきた。
視界の先に見える蒼汰の乳首。
つんつん、とつつくと蒼汰の身体がぴくりと動く。
…あ、ちょっとだけ心音速くなった。
「…何してんの」
「心音聞いてる」
「…は?」
どくん、どくん、と速くなり出した心音。
「…何。激しくされたい?」
「…。えっ?」
「いいよ。いっぱいすればいいじゃんっつったの
杏奈だしな?俺が叶えてやるよ」
「っ!?なっ、違っ」
「いっぱい、するんだろ?」
「は、はぁっ!?し、しないからっ!…し、ないもん…」
…したい。
足りない…蒼汰とたくさんセックスしたい…
「…あぁ何だ。違うの」
「!?」
あっさり離れた蒼汰を驚いて見上げる。
…えぇ!?
あたしから抜けて立ち上がった蒼汰は、あたしの身体を湯船に沈めて息を吐いた。
「…ま、そうだよなぁ。そりゃ露天風呂なんかで
これ以上セックスしたくねぇか。
建前では疲れ癒しに来てんだしなぁ?」
ま…待って。
待って待って…
髪を掻き上げて微笑んだ蒼汰が、入り口の方に向かって水面を進んでいく。
…やだ、待って!
咄嗟に身体が動いていた。
蒼汰の広い背中に思いきり抱き着き、行かせまいとぎゅうっと抱き締めた。

