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want to be ...【短編集】
第8章 矢野家訪問
杏奈SIDE
「なぁ、杏奈〜」
「何ー?」
夜ご飯を食べ終え、ソファーに寝そべって雑誌を読んでた蒼汰があたしを呼ぶ。
「俺さ〜明日から実家帰ろうと思うんだけど、」
「あぁ、うん。…えっ!?かっい社は!?」
「…アホか。一時帰宅だよ、一時帰宅。
誰が荷物まとめて帰るっつった」
「…あ、…あぁ!そういうことっ」
「なんだ、仕事やめると思ったの?」
「…っ」
て、てっきりそういうことかと。
「…で。お前も来ねぇ?
ちゃんと彼女だって紹介したいし」
「…!?」
かっ…彼女!!
「…っ、ほんとに!?」
「…嘘ついてどうする」
「行く!!!」
「…、あぁそう、うん。
なら準備しといて、明日の昼頃出るから」
「分かったっ」
「俺も準備しよ〜」
ふぁあ、と欠伸しながら部屋に向かった蒼汰。
…絶対準備しないな。
お風呂入って寝そうだ。
何とか明日の下ごしらえを終え、お風呂に入ろうと寝室にパジャマを取りに行くと。
「…やっぱり〜」
ベッドに倒れ込むようにして寝てる蒼汰。
「ね、蒼汰。お風呂は?入らないのっ?」
お尻をジャージの上からパン、と叩く。
「んー…、◎☆%&〒…」
「…」
何言ってるのか分からない。
「あたしお風呂入るからね〜」
そう声をかけ、パジャマと下着を持ちお風呂場に向かった。
寝てるならゆっくり入ろうかな。
身体を洗い終えた後乳白色の入浴剤を入れて、おもちゃのアヒルと戯れる。
蒼汰がよく歌ってる鼻歌を口ずさんでると。
「…起こせよ、バーカ」
「ぎゃっ!?わぁあっ」
裸の蒼汰が入ってきて大袈裟に驚いてしまう。
「びっくりした…」
「…わり。音しなかった?」
「しなかった…」
少し前に身体をよけると、かけ湯をして入って来た蒼汰はあたしの身体の横に足を伸ばして抱き寄せてきた。
ふー…と長いため息をついて背中に顔を埋められる。
ちょっぴりドキドキしながら3羽のアヒルと戯れる。
「…ていうかあたし、起こしたからね。
お尻叩いたし。起きなかったの蒼汰だもん」
「起きるまで起こしてよ」
「やだよ、蒼汰襲ってくるじゃん」