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want to be ...【短編集】
第2章 ペアルック
「あの…蒼汰とお知り合い、ですか?」
「あっちは多分、俺の事知らないけどね?」
「…へっ!?」
どういう事!?
「君も俺の事知らないでしょ?」
頷くと、口角を上げる店員さん。
「酷いなー、同じ大学だったのにさぁ。
…まあいいや。ほら、彼氏来たよ」
その言葉に振り返ると、両手にショップ袋を持ってる蒼汰。
何だか機嫌悪そう…
「蒼汰!ありがとうっ、
ほしいもの見つけたから買ってくるねっ」
「…あ?あぁ…」
そう言ってパーカーを持って会計に向かう。
「プレゼント用ですか?」
店員さんの言葉に頷く。
「はい!お願いしますっ」
「じゃあこの中からー…」
ラッピングの袋やリボンを決めてると。
「天野さーん、それ俺がするから譲って」
「…あ?いいけど…」
…さっきの店員さんだ。
あたしに向かってにこりと微笑み、背を向けた。
ぼんやりしてる内に、出来上がったのかこっちを向く店員さん。
「はい、渡す時はこの袋から出して渡してあげてね」
「ありがとうございますっ」
袋を受け取り、小物のところにいる蒼汰に近付く。
「蒼汰」
ぼんやりと指輪を見つめてた俺は、聞き慣れた声に顔を上げた。
「…あぁ、杏奈」
何だったんだ…あの男。
『彼女、可愛いね』
『…あ?』
『何でもしてくれそうだね、従順そうだったし』
ぺろりと唇を舐める男を、鋭く睨み付けた。
『…何が言いたいの?』
『…別に何も?ただ…
あーんな従順そうな子が彼女で羨ましいなって。
何でもしてくれるでしょ?』
俺の反応を楽しんでるらしい男。
狼狽する俺が見たいのか?
『…はっ、そうだな。
俺限定で…随分と色々ヤらせて貰ったよ』
『…』
小さく舌打ちしたのを見逃さない。
『そうだよ…お前の言う通り。俺に凄ぇ従順で…
何があっても俺から離れられなくしてやってるよ。
何があっても、な』
''何があっても''
この言葉を強調し、口角だけを上げて笑う。
杏奈を狙ってんなら、かかってこいよ。
一瞬で返り討ちにして、指さして笑ってやる。
何なら杏奈が俺の腕の中で乱れる様子を…目の前で見せてやろうか?