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want to be ...【短編集】
第8章 矢野家訪問
「そうなんだ!え〜知らなかった」
「わりと何でも乗れたと思う。外車とかも」
「えー!外車乗れるの!?乗ってみたい!」
「いつかな。高いからな」
「高いの?なんだぁ」
「外車だからな」
「外車って高いんだ」
…まあ知識ないとこんなもんなのか。
駅と併設するショッピングモールを歩いてると、どうしてもジュエリーを扱う店に目が行く。
それとなーく指輪のデザイン、どんなのがいいか探り入れないとな。
女の子なのに物欲がそんなにない杏奈のことだから下手したらいらないとか言いそうだけど無理矢理にでも買う。
そこまで高くなくても、自然に普段着けててくれるものがいいよな。
なんて考えてると、どうやら何かを見て立ち止まっていた杏奈を置いて歩いていたらしい。
隣にいないことに気付いて振り返ると、華奢な背中を屈めて何かを見ている。
店舗1つ分歩いて杏奈のもとに戻ると、見ていたのは子供服。
「見てこれ…ちっちゃいねぇ、可愛い〜」
店頭に並ぶ服を手に取り広げて、にこにこする杏奈。
「近い将来買うことになるな」
「えへへへへへへ」
嬉しそうに笑って俺の手を握り、店内に入って。
男の子だったらこうで、女の子だったらこうで、ってコーディネートを組んで。
上の階まで一通り見たあとは、土産屋で何か買っていくのに寄った…けど、
「…ほんと渋いな、杏奈」
「え、何で!?」
土地限定の菓子とかスイーツじゃなく、お茶っ葉や惣菜や調味料を手に取る杏奈に笑いが込み上げる。
こいつ夢の国行った時も土産で海苔買ってたしな。
「だって日持ちするしご飯のお供になるし」
「あ、じゃあこれも食いたい」
かくいう俺も、笑いつつ惣菜の1つを取る。
昨日も八百屋に30分はいたしな、と思いながら俺が持つかごに次々と入れて。
買い物を終えると丁度いい時間になっていたから、コーヒー店で飲み物を買い、東京行きの便に乗った。
東京に着くまで爆睡だった俺達。
「明日の朝シよ…」
珍しい杏奈からの誘いに俺も頷いて。
2人でシャワーしたあと泥のように眠りについた。