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want to be ...【短編集】
第8章 矢野家訪問
だからあっさり納得してくれたことにめちゃくちゃ感謝した。
せっかく帰るのにくどくど喋ってたくないしな。
それから俺達は、予約済みの新幹線の便まで時間があるからせっかくだから観光することになった。
「…つっても俺しばらく帰ってないし
わざわざ観光しないから浦島太郎状態だからな。
駅もこんな綺麗なってると思わなかったし」
「大丈夫だよ。それこそこれからも何回も来ようよ、
蒼汰の生まれ育ったところちゃんと知りたいし」
ああくそ、可愛いな。
そして嬉しい。
好きな女が自分のことを知ろうとしてくれるのってこんなに嬉しいんだなとめちゃくちゃ今更ながら思う。
「そうだな、新幹線も開通したしたまに来るか、
なんならドライブがてら車でもいいし」
「そしたらレンタカー借りて何泊か旅行するのもいいね」
杏奈は生粋の都会っ子だから免許は持ってても車は持っていない。
俺も公共交通機関で事足りるのを理由に持っていなかった。
「そしたら運転どっちにするー?慣れてないよねお互い」
「8割俺2割杏奈でいいんじゃね?
俺の方が仕事でも使ってるし長距離は何度か経験あるし」
「疲れたら交代する感じだね?」
「ああ、田舎入ったら車通り少なくなるからその時頼むわ」
なんてことを話しながら駅構内をぶらつく。
そんなにアクセスがよくなかった上京前と比べると見違えるほど変わっていた地元。
何しろ東京から地元までの直通の新幹線が出来てくれてる。
値が張るが2時間ちょっとで行き来出来るからかなり便利だ。
方法を変えるなら、長距離バスで身体を痛めるよりいろいろ自由に行ける車がいいと意見が一致したらしい。
「いずれ車買うのも考えとくか」
「そうだねー、貯金しなきゃな〜」
「杏奈ってなんかこだわりあんの。車に」
「あ、全然ない。今までほぼ無縁だったし」
「じゃあ俺がいろいろ決めといていい?」
「おまかせするー。でも一緒に見に行きたい!」
「そりゃあ勿論。乗ってみたいのいくつかあんだよな〜」
「え、試乗とか出来るの?」
「出来る出来る。何ならレンタカー借りる時に
乗りたい車選べるからそれで乗れるし」