この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
want to be ...【短編集】
第5章 温泉旅行 1日目
もう、自分が今どこにいるのか分からない。
そもそも、このまま進んでて扉に辿り着けたっけ…
段差、なかったっけ…?
襖だってあったし、このまま進んだら、あたし…
何もされてない、見られてるだけの今。
…いや、見られてるの…?
ほんとに見られてるかどうか分からないのに酷く秘部を濡らして、身体は求めてる…あの快楽を。
とうとうあたしは進むのをやめて、その場に座り込んだ。
「…っ、もういや…、もう無理ぃ…」
蒼汰がどこにいるかもう分からないから、座り込んだままそう呟く。
「はい俺の勝ち」
すると嬉しそうに言って、足音が近付いてきた。
…どこから?
座り込んできょろきょろしてると、足音が止まって。
「ほら、杏奈。…おいで?」
そう優しく言われるけど、どこにいるのか分からない…
「…蒼汰。蒼汰ぁ?」
「そっちじゃない。こっち」
その言葉に、伸ばしてた両腕を引っ込めて、声が聞こえた方に身体の向きを変える。
「…こっち?」
「どうかなぁ…おいで?」
「…っ、うぅ…」
蒼汰…いじわる、だ…
「蒼汰ぁ…っ」
「…仕方ねぇなぁ」
「…っ」
座り込んだまま待ってると、顎にそっと触れた柔らかいものにビクッと身体が震えた。
そのまま顎を持ち上げられて、その柔らかいものが蒼汰の手だという事を知る。
そのままそっと口付けられた時は、唇だとすぐ気付けた。
「よく頑張りました。けど杏奈の負け。俺の勝ちね?」
その言葉に小さく頷く。
「つーかね。杏奈…そのままだったら
精液で畳汚しちまうところだったから。…ちなみにさ。
自分が今どこにいるか…ちゃんと分かってる?」
すごく近くで聞こえる声にびくりと身体を震わせる。
「…分か、ない…」
震える声で言うと、髪をくしゃっと撫でられた感覚がして。
「杏奈…俺の2歩分も進んでないからな」
と、衝撃の言葉が耳に届いた。
「…っ、えっ…」
「それにな?
杏奈、まっすぐ進んでるつもりだったんだろうけど。
全然まっすぐ進めてないんだよ?」
「…、嘘…」
「嘘じゃない、見てみろよ。
…とか言って見せてやりたいところだけど。
…悪いけど無理」