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逢瀬は月見橋で
第1章 月見橋で・・

男は甘えるような瞳を近づけてくる。
キスまであと10センチ。
その微妙な距離は、あたしの心を揺さぶった。


「次会った時に返してあげる。
 それまでこれは預かっておくから」


男は距離を変えずにあたしに言い含める。


「今夜はパンツ穿かずに帰りな。で、旦那に見せてやるんだ。
 あんたが浮気するからあたしもしてきたって。仕返しだって」


相変わらずの淡々とした口調でそう言われると、
素直にうなずくしかないように思えて、
あたしは・・わかったって、つぶやいた。


「よ~し、いい子だ。
 じゃあ一週間後の夜・・今、9時か、ちょっと遅いね・・
 8時にしよう。
 この月見橋で待ってるから」


交渉が成立した喜びを表すかのように音をたててキスをしてくる。
それからあたしの手を引いて歩き出した。

途中まで送っていくからって。


月明かりの中を歩くあたしたち2人。
虫の音を引き連れながら、しだいに増える街灯に
夢の終わりを告げられる気がした。



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