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逢瀬は月見橋で
第2章 あたしとユタカ

ぼろアパートのドアを開けると、
ユタカが部屋の真ん中で背中丸めて座っていた。

片手には商店街でもらった安っぽい団扇を持って、
ゆっくりと、ゆっくりと、自分の頬を扇いでいた。


振り向いたユタカは目じりを下げて、安堵の表情を見せた。
多少、わざとらしさを感じるような、そんな目で笑った。


「よかったぁ、おまえ、ちゃんと帰ってきてくれるって思ってたよ、オレ。
 咲穂はオレのこと捨てたりしないって・・」


立ち上がって、あたしに近づいてくると、甲高い息をはきながら抱きしめて、
背中を何度もさすってくれた。

毎度毎度・・よくも飽きずにおんなじことができるよね・・

心の中で吐き捨てながらも、ユタカの腕に抱かれたまんまのあたしは、
さっきのあの男の言葉を思いだした。

仕返しに浮気したって言ってやれって言葉・・


「あたしも・・浮気してきた」

「あ?」



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