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運命という名の恋
第5章 逢
タクシーに乗り込んで家に向かった。
「由紀右手を見せて」と言った俺に
始めは躊躇して「平気です」と言っていたけど
「見せて」としつこく言うと、おずおずと出してきた。
手首をゆっくりと撫でて
「鎌田さんを思い切りたたいたんだろ?痛くないか?」
と心配した。
「ごめんなさい」
小さく言ったその声に笑って
「平気だよ。明日出社しても、武勇伝になってるさ」
そう言うと、恥ずかしそうに顔を伏せた。
「しつこいのは我慢できたんですけど。
声をあげれば誰かが助けてくれる事も分かっていたんですが・・・」
「うん」
俺は由紀の右手首をさすり続けた。
「柳下さんの悪口だけは許せなかったんです」
「そうか」
それ以上俺たちは何も話す事が出来ずに
マンションの前で止まったタクシーを降りた。
「何もしないから。湿布だけ貼らせてよ。
落ち着くまでコーヒーでも淹れるよ」
俺は苦笑いしてそう言った。
「由紀右手を見せて」と言った俺に
始めは躊躇して「平気です」と言っていたけど
「見せて」としつこく言うと、おずおずと出してきた。
手首をゆっくりと撫でて
「鎌田さんを思い切りたたいたんだろ?痛くないか?」
と心配した。
「ごめんなさい」
小さく言ったその声に笑って
「平気だよ。明日出社しても、武勇伝になってるさ」
そう言うと、恥ずかしそうに顔を伏せた。
「しつこいのは我慢できたんですけど。
声をあげれば誰かが助けてくれる事も分かっていたんですが・・・」
「うん」
俺は由紀の右手首をさすり続けた。
「柳下さんの悪口だけは許せなかったんです」
「そうか」
それ以上俺たちは何も話す事が出来ずに
マンションの前で止まったタクシーを降りた。
「何もしないから。湿布だけ貼らせてよ。
落ち着くまでコーヒーでも淹れるよ」
俺は苦笑いしてそう言った。