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溺れる恋は藁をも掴む
第14章 二十歳の恋
大丸前の入り口。
その階のフロア一面に有名店のお菓子屋さんが入っている。

誘惑の甘い匂いが漂う。
一人で来ていたのなら、好きな洋菓子や和菓子を買って、家族にお土産にしてもいいし、自分の部屋で紅茶を淹れて、優雅な時間に添えたいくらい。


でも、今日はデート。
そんなことしてられないわ。

なんてワクワクしながら、誠治さんを待っていた。

この約束の日まで、
お疲れ様メールだけは毎日していた。

仕事が終わって、
家に帰り、くつろいでいる時に、
ランチで何を食べたとか、残業しないで帰えれたとか、
これから始まるドラマを毎週楽しみにしてるなんて、
たわいのない内容だけど、ちゃんと誠治さんは返信をくれていた。

平日に戻ると仕事が忙しい事や、ランチに食べたもの。
一人暮らしだから、ついつい夕食も外食や出来合いのものになってしまう事などを返信メールで知る。


読み返すと嬉しくなったりもした。
気になる人の1日が知れるやり取りは、
私の心の励みとなった。
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