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溺れる恋は藁をも掴む
第14章 二十歳の恋
山の手線に乗り、新宿まで出た。
人混みを掻き分け、歌舞伎町の道を少し歩いたところに手作りハンバーグの店があった。

香澄と短大の頃は、新宿まで買い物などに出ると、このお店でご飯をよく食べた。

路地裏の目立たないところのビルの地下を降りるので穴場といえば穴場。

ごった返しになる昼食時も、
割と席が空いていて、
地下だから少し暗いイメージだが、
センスのいい照明で明るく見せている。
落ち着いた雰囲気だし、何よりも美味しくて安い。

店員さんに席に案内されて、
向かい合わせの席に座り、
やっと落ち着いた。

誠治さんの顔をやっと正面から見れた。
二人きりは緊張する。
メニューを見ながら、


「華ちゃんのお勧めは?」
と聞かれ、

「チーズハンバーグですかね?
私、チーズが好きなんです。
ハンバーグにトロトロのチーズが乗っかってるんですよ」

「美味しそうだ。
それにしょうかな?」


私もそれがいい。


私達はチーズハンバーグのセットを頼む。
ライスかパンも選べて、
飲み物とミニサラダがついてくる。
アイスコーヒーも二つ頼む。


店内はハンバーグの焼け時の、肉汁のいい匂いが漂い食欲をそそる。
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