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溺れる恋は藁をも掴む
第14章 二十歳の恋
若者に人気のデパートに入る。
洋服一つにしても、
やはり好みがあるから、
誠治さんに普段はどんな感じなのか聞いてみる。

「うーん。
ギャルって感じではないかな?
冬は寒いところだからね、
お洒落より防寒最優先の暖かいものを選びがちかなんだよね」

あっ!
そうか…
やっぱり、お洒落は気候も左右するよね。
秋物を着る期間も短いなら、
一層、先取りで冬物を選んだ方が実用的かも?

マフラーやコートなどを提案すると、

「あ!いいね。
それならこれから役立つしね」

誠治さんも賛成してくれたので、
店内を歩きながら、
早々と冬のコートが飾ってある店を探し、
妹さんに似合いそうなものを見て回る。

ディスプレイに、紺色のダッフルコートに淡い空色のマフラーをして、チエックのスカートを履いたマネキンを見つけた。


可愛らしいトータルコーディネートだった。

私はマネキンの前に立ち止まる。

「これ、誠治さんの妹さんのイメージに合いそう」

誠治さんもマネキンが着ている服を見て、

「いいね」
って笑った。

店員さんに見せて貰うと、
ダッフルコートは暖かい生地で作ってあり、
裏地はマネキンの履いているスカートとお揃いの赤いタータンチエック柄だった。

値段は、コートだけで19800円した。
予算オーバーかな?
残念と思ったら、

「このコート下さい」
と誠治さんは店員さんに言う。


「彼女さんに似合いそうですね。
今朝入ったばかりの今年一番のお勧めのコートなんです」
なんて言われてしまう。
側からみたら、私達、カップルに見える?


誠治さんは敢えて否定せず、

「プレゼント用にして下さい。
それとマフラーも下さい」

「かしこまりました」
店員は、ディスプレイのマネキンから、
ダッフルコートとマフラーを外し、
レジに向かう

「コートとマフラーは別に包んで下さい」

「承知しました」
と店員は微笑み、
プレゼント用のラッピングをした。



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