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溺れる恋は藁をも掴む
第15章 カルアミルクとビール
誠治さんのメールは以前のような、
楽しみに出来る文章は見当たらない。

今日は寒かったね。
風邪なんか引かないようにね。

今日も寒いね。
忘年会シーズン到来だね。

毎日送る私のメールとは対照的で、
数日経ってから送られてくる誠治さんのメール。
ニュースを読むアナウンサーが最初に交わす挨拶みたいな差し障りのない文章。

返信を受け取る度に思う。
心ない文章は、メールでも敏感に感じちゃうもんなんだて。



そんな誠治さんが私に向けた、
最後の優しさは残酷なものだった。

クリスマスが誕生日の私への最後の贈り物は、
あなたの正直な気持ち。

メールで素っ気なさを見せながらも、
クリスマスに予定を空けてくれた誠治さん。

私はお洒落をして、
会社帰りに待ち合わせの店に行った。

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