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溺れる恋は藁をも掴む
第17章 溺れる
禁句に触れなければ、
百合と上手くやってゆけると思っていた。
いつも通り、
大学に行き、バイトをして、
会える日は百合の顔を見に家に寄る。

百合のお日様の笑顔を見て、
また、明日も明後日もそれが繰り返されると信じていた。

親父の二周忌を同じように百合と過ごして、
大学の長い夏休みに、貯まったバイト代で車の免許を取る事にした。
免許を取れば、就職にも役立つだろうし、
百合を助手席に乗せて、ドライブにだって行ける。
また行きたいって言っていた、ディズニーランドをドライブしながら連れて行ってやりたかった。

だから、免許を合宿で取る事にしたんだ。
暫く、百合の顔が見れないのは寂しかったけど、
早く免許を取って、百合との楽しい思い出をいっぱい増やしたかった。

思えば、受験一色だった時を百合は支えてくれて、
百合も資格試験があったりで、店を滅多に休まずに働いていた。

二人で何処かにデートした思い出も少ない。
学生だった俺に、百合はいつも遠慮していた。




合宿に行く前も、
百合はいつもと変わらず、
お日様の笑顔を見せてくれた。

「いってらっしゃい、晶」
いつもより少し長めにキスをして、
ギュッと抱き合った。
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