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第17章 溺れる

俺が今でも唯一誇れる事は、
百合との約束は必ず守った事。

どんなにキツくて過酷を強いられても、
百合のお日様のような笑顔があったから、
やり抜いた。

あの日、約束通り百合の家に、
免許証を持って、
走った。
早く見せたくて。

百合の部屋の前に着いて、
チャイムを押したんだ。

いつもなら百合がドアを開けて、
笑顔で迎えてくれるのに、
何度押しても応答がない。

チャイムは部屋に鳴り響いているのに…

店に行く支度でもしていて、
手が離せないにしてもおかしいと思って、
ドアノブに手を当てたら、
すんなりドアが開いたんだ。


そっと入ってみたら、
もぬけの殻状態で、
部屋を間違えたかと思って、
部屋番号まで確かめた。

間違いなく、百合の部屋だ。

百合の部屋なのに………
中は空っぽになってる……

焦って、そのまま中に入る。

百合の家財道具一式が消えていた。
百合の姿もない。

百合を探しても何処にも居ない。

百合のベッドが置いてあった場所に、
手紙が俺宛に置いてあった。

パニックになりながら、
その封を開けて、中に入っている手紙を読んだ。