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溺れる恋は藁をも掴む
第17章 溺れる
晶へ

何も言わずに居なくなる私を、
どうぞ恨んで下さい。

晶、
本当にごめんなさい。

晶に少し、
私の話をするね。

私は東京からずっと離れた田舎町に育ちました。
近くには温泉なんかがあってね、
よく家族で休みの日になると、
温泉に入りに出掛けたもんです。

普通の暮らしは16歳になるまででした。
初めて恋を知りました。
相手は私より少し年上の大学生だった。
純粋に恋をしたんだ。
本当に好きだった。
そう、思ってました。

16歳の秋に妊娠に気づきました。
悩んだけど産もうって思った。
宿った命を殺すなんて、
私には出来ないなんて格好つけた。


勿論、親は大反対。
毎日、「堕ろせ、堕ろせ」と言われ、
そんな毎日が嫌で、
彼と駆け落ちしたんだ。

情けない話なんだけど、
結局、お金に困って頭を下げて親元に帰ってきたの。
もう、その時はお腹の子を堕ろせない時期になってた。

そんな私を私の親は許さなかった。

相手の親が仕方ないとばかりに、
産む事を認めてくれました。

16歳で嫁に入り、
子供を産みました。


春の日差しが眩しく、
お天気に恵まれた朝に男の子を産みました。

名前は太陽といいます。

可愛くて愛しくて………
世の中にこんなに素晴らしい事があるんだと思ったわ。


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