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溺れる恋は藁をも掴む
第3章 最高の理解者
三浦華
最初の印象は、
人畜無害な奴。

席が隣になり、
話すようになったが、
あくまでもクラスメートの一人に過ぎない。
太めな外見。
挨拶などは笑顔で返すし、
愛嬌はある。
クラスメートと穏便に付き合い、
輪を乱すタイプではない。
食べる事は好きらしく、
よく、あそこの店のケーキが美味かっただの、
バイキングの美味しくて安い店に行ってきただの、仲のいい女子と隣の席で盛り上っていた。
俺のバイト先のファーストフードにも、
来た事があって、ボリュームのあるものばかり注文する。

その頃の華を例えるなら、
のほほんとした、癒し系クマのキャラクターのようだった。

授業はちゃんと聞いていて、
黒板に書かれていたもんは、
全て書き写す真面目な奴。
ノートは綺麗に丁寧な文字を残す、
几帳面さは感じた。

几帳面なのに、
あれだけ太るのは、
体質があるにしろ、
どこか自分に甘さがあるのか?
とも思えた。

今なら、
可愛いデブのタレントが、
デブカワなどと言われ、
世間でも認められつつあるが、
あの頃の女子は、
痩せたガリガリのような女でも、
「太っちゃつた。
どうしょう?」
などと、
バカみたいにモデルを意識したように、
ダイエットする。

そういう女子達の中で、
華に危機感みたいなもんがあったか?
どうか?
は分からない。

俺は、そんな女子のどーでもいい話が聞こえてくる度、
内心、『くだらねー』としか思わなかったから。

華は、
女子達が言う、
女子力というものに、
無縁な感じがした。

そんなことに流されないあいつに、
どこか安心感も感じていた。

人それぞれ。
自分は自分でいい。

みたいな?
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