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溺れる恋は藁をも掴む
第6章 満月の夜に
「あの時、ノート有り難うな。
助かったよ。
勉強なんてやる気もしなかったけど、
華のノート見ていたらさ、
このまんまじゃいけない。
悲しみに慕うより、
現実って思えた。」
「あんな事くらいしか思い浮かばなかった。
掛ける言葉が見つからなかったから」
「さすがに、可哀想なんて思われたくないさ。
そんな時でも、同情されたくない男のプライドくらいは持ちたい」
「うん。
私もアキならそう思うかもしれない」
「だろ?
話の続きになるけど、
そのご主人さ、
あなたの言う事は分かりました。
保険に興味なかったし、
ただ入っていればいいくらいにしか思わなかった。
小さな頃から母が掛けてくれたものを、
変える気もなかった。
ただ、妻に遺してやれるもんがないのも、
夫として申し訳ない。
牧瀬さん、夫として責任を果たせるもんにして下さい。
って言ってくれたんだ。
嬉しかったな。
人の心が動く瞬間を目の前で見れるってさ。
上司が言うんだ。
営業は自分の成績を気にしてするもんじゃないって。
相手の気持ちに寄り添って、
あなたの為にって気持ちが、
人の心を動かすもんだって。
まさにね、
その通りだって思う。
この仕事を選んで良かったって思える瞬間。
それでもさ、成績はついて回るからね、
綺麗事ばかりも言ってらんないけどね。
辛い、苦しいもあるけど、
上手くいった時に、
格別な気持ちを味わえる仕事。
あ、ごめんな。
仕事の話ばかりで。
退屈させただろ?
これでおしまい。
美味いもん食べて、
飲もう」
助かったよ。
勉強なんてやる気もしなかったけど、
華のノート見ていたらさ、
このまんまじゃいけない。
悲しみに慕うより、
現実って思えた。」
「あんな事くらいしか思い浮かばなかった。
掛ける言葉が見つからなかったから」
「さすがに、可哀想なんて思われたくないさ。
そんな時でも、同情されたくない男のプライドくらいは持ちたい」
「うん。
私もアキならそう思うかもしれない」
「だろ?
話の続きになるけど、
そのご主人さ、
あなたの言う事は分かりました。
保険に興味なかったし、
ただ入っていればいいくらいにしか思わなかった。
小さな頃から母が掛けてくれたものを、
変える気もなかった。
ただ、妻に遺してやれるもんがないのも、
夫として申し訳ない。
牧瀬さん、夫として責任を果たせるもんにして下さい。
って言ってくれたんだ。
嬉しかったな。
人の心が動く瞬間を目の前で見れるってさ。
上司が言うんだ。
営業は自分の成績を気にしてするもんじゃないって。
相手の気持ちに寄り添って、
あなたの為にって気持ちが、
人の心を動かすもんだって。
まさにね、
その通りだって思う。
この仕事を選んで良かったって思える瞬間。
それでもさ、成績はついて回るからね、
綺麗事ばかりも言ってらんないけどね。
辛い、苦しいもあるけど、
上手くいった時に、
格別な気持ちを味わえる仕事。
あ、ごめんな。
仕事の話ばかりで。
退屈させただろ?
これでおしまい。
美味いもん食べて、
飲もう」