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溺れる恋は藁をも掴む
第6章 満月の夜に
「アキの話は退屈しないよ。
私の中でも、保険のイメージが変わってきてるもん。
それに、アキの仕事熱心なとこ尊敬する。
同じ歳なのに凄いって思うよ‼︎
ただ毎日同じ事の繰り返しで、
仕事に情熱を注げてない私には刺激になる」


「そうか?
つまらない男じゃね?
会う度、仕事の話じゃ?」

「アキが話したい事を、
聞いていたいよ」

「有り難う。
華だからかな?
こんな話出来るの。
だから、そう言われたら甘えたくなる。
こういう話、ウザがられるの分かってるから、
あんまりダチとかにはしないんだ。
そうやって保険勧めたいんだろ?
って裏目に取られたりもするからさ」

「あ、まぁ‥‥‥そうだよね。
私も最初はそうだったし」

「だよね。
営業って悪いイメージかもしれないけど、
必要な情報や得する情報を伝える役割もあるんだぜ!

要は聞く耳持って、
必要だと思うなら取り入れたらいいし、
必要じゃないなら断ればいい。
そう思ってくれる人が増えたら、
楽だな」

「そうだね。
アキの話は凄く勉強になるよ」

「そっか?
なら良かった。
なぁ、刺身食わない?
あと、焼き鳥と蛸ワサ。
腹減った」

「うん」

「今日、親父の命日だった」

「えっ‼︎」

「仕事行く前に、
墓参りしてきた」

「そうだったの‥‥」

「無事、仕事も終わったし、
親父の好物食べながら、
誰かと飲みたかった。
華で良かった」





あのさ、
アキ‥‥‥
そんな事いうと、
誤解しちゃうからね‥‥‥
既に、華って名前で呼ばれてる事も、
言わないけど、めちゃ嬉しい。


「私でいいなら、
付き合いますよ。
お父さんも、アキを見守ってるよ」

「かな?」



アキはせつなそうに笑い、
お父さんの好物を注文した。

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