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治してあげます
第6章 退院
「自分のことをさらけ出せるのは凄いことだと思います。
辛かったことや、切ない思い出を大切な人に伝えられたら、
やっぱり良い関係に築けますよ。
そういう所が素敵だと思います…」
「そっか…。俺にも良いとこあったのかな」
「ありますよ!自虐的になったらダメです」
ふふっと鼻で笑う。その息が顔にかかる。
「いいこと言うね。俺、宮崎ちゃん居なくなっても頑張れるよ」
「そうですか!励みになることは嬉しいですよ」
にこっと笑うと、何もしないと宣言していた先生が頬に唇を当てた。
「あっ!」
「…ありがとう」
そう言って一度も振り向くことなく、部屋を出て行ってしまった。
その後、結局、学さんはいつまでたっても来なかった。