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近づきたい
第2章 春の日
名前を呼んでしまっただけで急に恥ずかしくなって、両手で口を覆った。
「…?僕のこと呼びました?」
「あっ……」
聞こえていたんだ。あ~どうしよう…何て答えればいいんだろう。
「えっと、すみません。…ごめんなさい。ごめんなさい。」
頭を深々と下げて、私はひたすら謝りの言葉を言ってた。
「いや、謝られても。君、なにもしてないよ。」
ちょっと困ったように小さく笑う。私、この人の笑った顔、大好きだった…
そう思った瞬間、涙が出てきた。ヤバイ…こんなところで、しかも、よし先輩の前で泣いちゃダメだ。
「えっ?えっと、どうしたの?」
私の涙を見て、慌て始めるよし先輩。
ごめんなさい。声にはならない言葉。なかなか止まらない涙を手で拭きながら、よし先輩の前から逃げ出した…
帰ろうと準備をして本を戻しに行って良かった。
上着も鞄も持っている。私はそのまま、図書館の出口から飛び出した。
3月の夕方…もう外は日を落とし、薄暗い。
今日はバスで図書館に来ていた。図書館前のバス停から、私の乗りたいバスが出発したのが目に入り、足を止めてしまった。
「…?僕のこと呼びました?」
「あっ……」
聞こえていたんだ。あ~どうしよう…何て答えればいいんだろう。
「えっと、すみません。…ごめんなさい。ごめんなさい。」
頭を深々と下げて、私はひたすら謝りの言葉を言ってた。
「いや、謝られても。君、なにもしてないよ。」
ちょっと困ったように小さく笑う。私、この人の笑った顔、大好きだった…
そう思った瞬間、涙が出てきた。ヤバイ…こんなところで、しかも、よし先輩の前で泣いちゃダメだ。
「えっ?えっと、どうしたの?」
私の涙を見て、慌て始めるよし先輩。
ごめんなさい。声にはならない言葉。なかなか止まらない涙を手で拭きながら、よし先輩の前から逃げ出した…
帰ろうと準備をして本を戻しに行って良かった。
上着も鞄も持っている。私はそのまま、図書館の出口から飛び出した。
3月の夕方…もう外は日を落とし、薄暗い。
今日はバスで図書館に来ていた。図書館前のバス停から、私の乗りたいバスが出発したのが目に入り、足を止めてしまった。