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近づきたい
第2章 春の日
「あのさ、勘違いかもしれないけど…さっき、本当はオレのこと呼んだ?」

コクンとうなずいてしまった…

「そっかぁ~なんか切ない声で呼ばれたから、聞こえないふりもできなくて。」

また泣きそうだ…でも、泣いちゃいけない。

「オレ、高校生に知り合いいないと思うんだけど、どこかで会ったことあるかな?」

私の顔を何度も見ながら、私を思い出そうと頭に手を置い考えている。

「……ずっとずっと前に一度だけ会ったことあるんです。」

「えっ?ずっと前?」

ずっと前に会ったなんて、高校生に言われたら誰だって驚く。しかも、一度だけしか会ってないのに、私は泣いてばかり…あ~あ、困らせてる。

「……もしかして。あっ、間違ってたら本当ごめん。もしかして、瑞穂(みずほ)ちゃん?」

…私だってわかってくれた!嬉しい!嬉しい!

泣きそうだった私の気持ちに陽が差したみたいに嬉しさが広がった。

「うん。瑞穂です。よし先輩、ごめんね…」

嬉しい気持ちとどうしようという困惑の気持ち、泣いてしまった恥ずかしさ。私の中で自分でもよくわからない気持ち…

とりあえず、今は謝ろう。よし先輩に迷惑をかけてるもんね。

「急に泣いたりしてごめんなさい。なんか急に情緒不安定になっちゃったみたい…懐かしい人に会ったからかな?」

無理に笑顔を作りながら、よし先輩に話をする。
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