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近づきたい
第2章 春の日
「仕事終わって事務所出たら、可愛い女子高生と目が合ったから、ちょっとドキドキしちゃったよ」

「えっ?!」

可愛いと言われて、落ち着いてきたはずのドキドキがまた始まってしまった。

「瑞穂ちゃん、よくオレのことわかったね」

6年間、忘れたことなったんだもん…わからないはずない。でも、そんなこと言えない…

「よし先輩、全然変わってないですよ」

「瑞穂ちゃんは変わってて、最初わからなかったよ。」

この6年間で小学生が高校生になった…


女の子は数ヶ月会わないだけで変わってしまうことがあると言う…

まして私は先輩に恋をして、早く大人になりたくて、周りよりちょっと大人びた18歳になっているかもしれない。

よし先輩と向かい合って座った喫茶店のテーブル。緊張してるけど、嬉しくて仕方ない。

運ばれて来た先輩の珈琲と私のカフェオレ。何から話したらいいのかわからない私はカップに口をつけた。

よし先輩もほぼ同時に珈琲を飲み始めた。

あっ、よし先輩が珈琲を飲んで喉仏が動いた…

6年ぶりに見たその姿にまた泣いてしまいそうで下を向いた。

「瑞穂ちゃん、さっきも泣いてたけど、何かあった?オレ、何かしたかな?」

目に貯まった涙に気づかれたみたいで、よし先輩は私を心配そうに見ている。

ううん、首を横に大きく降って先輩を見る。

「もうすぐ、この街を出るから情緒不安定なのかも…」

とっさについた嘘。でも、嘘じゃない気もする…

よし先輩と再会してしまった今、私はこの街を離れたくない。
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