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近づきたい
第4章 はじまりの日
「…よし先輩、やめて。もう離して…」

そう言う私を更に力強く抱きしめていく。

「…もう、やめて~。お願い…もう嫌だ…」

とうとう流れ出た涙と共に叫んで、やめてとよし先輩の腕を叩く。

ちょっとだけ抱きしめられていた腕の力が緩んだ気がして、 やっと離してもらえるんだと安堵した。

えっ?

力が緩んだと思った瞬間によし先輩からキスされていた。

海に沈む夕日が見える素敵な場所、ちょうど陽が沈む時間…

大好きなよし先輩とキスをしてる…

でも、今の私は泣き叫んでひどい顔をしているはず…

やめてほしいと言った後のキス…

やっぱりひどいよ、よし先輩…

キスをされながら、更に涙が出てきた。キスをやめてほしくて、また腕を叩いた…

やっとやめてくれたキス…でも、また力強く抱きしめられた。

「瑞穂ちゃん、このまま聞いてくれる?」

抱きしめられながら、よし先輩の声が頭の上から聞こえてくる。それと同時によし先輩の心臓のドキドキが聞こえる。

何も答えられないまま、私はよし先輩の話を聞く。

「オレ、ひどいことしてるの、わかってる…でも、謝らないよ。」

背中にあったよし先輩の右手が私の頭をなでてくれている。

「6年前の瑞穂ちゃんは本当に妹にしたいくらい可愛かった…
再会した日も瑞穂ちゃんだとわかって、本当嬉しかったんだ… 」

こうやって頭をなでてくれているのは、妹をなだめてくれているんだね。
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