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近づきたい
第4章 はじまりの日
もういいよ…よし先輩、もう終わりにしよう。
いくら私がよし先輩に近づきたいと思っても、近づけないのはわかったから。

「…妹でも…妹でもよし先輩と一緒に過ごせて幸せだった」

キスされてから初めて発した私の言葉に、よし先輩がビクッとして頭を撫でていた手を止めた。

「…ひどいけど…キスも嬉しかった…」

イタリアンランチ楽しかったな。よし先輩の車の助手席も幸せだった。突然のキスも嬉しかった。この思い出を胸にこの街を離れよう。

「私、よし先輩に触れたかったの。こうして抱きしめられて、キスしてもらって、ちょっとだけよし先輩に触れられた。…ありがとう。」

抱きしめられたままだから、よし先輩の顔は見えない。でも、さっきから早く鼓動するよし先輩の胸の音は聞こえるよ…私にドキドキしてくれて、ありがとう。

「オレも…」

また強く抱きしめられた。

「オレも瑞穂ちゃんに触れたかった」

えっ?

また、よし先輩にキスされてる。
ずっと抱きしめられてたから見えなかったけど…陽が沈んだんだ。

今回もロマンチックなキスとはちょっと違うなって思ったら、ちょっと笑えてきた。

キスをされながら、よし先輩の背中に腕を回して、私から抱きついた。

もう少しだけ。もう少しだけ。よし先輩に近づきたい…
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