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近づきたい
第1章 夏の日
「瑞穂ちゃんはユウちゃんと同じクラスってことは12歳?」

「そうです。よ、よし先輩はいくつですか?」

名前を聞いてドキドキが増しているのに、先輩はどんどん話を続ける。

「オレは22歳。だから、瑞穂ちゃんとは10コ違うね。」

10歳年上…成人してるし、本当に大人の人なんだ。

「オレ、一人っ子だからさ。兄弟がいるの羨ましいんだ。しかも、妹欲しかったから瑞穂ちゃん達遊べて、実は超嬉しかった。」

ニコッと笑った顔が大人の人なのに可愛くて…ドキドキした胸が痛くなった。こんな気持ち、初めてだ…

何も言えずにいると、先輩が髪に手をやり、ちょっと照れ臭そうな顔をした。

「瑞穂ちゃん、小学生にしては落ち着いてるよね。ユウちゃんと一緒だから、そう見えるのかな?ユウちゃん、彼女にしてとかって面白いこと言ってたもんな。
オレ、ちょっと瑞穂ちゃんと話してみたかったから、今ちょっと楽しいかも(笑)」

「アハハハ」

ちょっと困った顔をして愛想笑いを自分でしたのがわかった。

「ごめん、ごめん。勝手にどんどん話ちゃったね」

「ううん、私も一人っ子だからどんな風に話したらいいか、わからなかったんだ」

「そっか、オレも瑞穂ちゃんも一人っ子か。じゃあ、オレみたいに兄弟欲しかった?」

「うん、お兄ちゃんが欲しかった!」

本当だった。ずっと共働きで家にいる時間が少ない両親…お兄ちゃんがいたら、いいなぁって思ってた。
ユウの家は理想だった。お兄さんがいて、家にいるお母さん、あまり会ったことないけど、ユウを軽々持ち上げるたくましいお父さん。

無い物ねだりばかりしてるな、私…
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