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近づきたい
第7章 遠距離の日
「こんな時間にごめんね。」

「ううん、大丈夫。」

ちょっとすまなそうに下を向いたよし先輩。
会えたから嬉しいはずなのに、疲れた顔をしたよし先輩を見るのが辛くて、私も下を向いた。

「あ~、疲れた!」

車の中に響くよし先輩の大きな声に驚いて顔を上げた。
よし先輩、私のこと見てニコニコしてる…なんか嬉しそう。

そう思っていると、突然よし先輩に抱きしめられた。

「…会いたかった。」

私を抱きしめながら言うよし先輩の声が優しくて、切なくて、胸がしめつけられた。

私も会いたかったよ…そういうように私もよし先輩を抱きしめた。

「瑞穂ちゃん、オレ週末も仕事なんだ…たぶん瑞穂ちゃんが引っ越す日までも会えない。」

抱きしめられて幸せな時間がこの言葉たちに壊された…

もう今日以降は会えないの?私…向こうに行ったら、しばらく帰ってこれないの…

やっとよし先輩と付き合えたのに、私の大学進学が私たちの関係をまた離れさせる。

やっと近づけたのに…やっと隣にいれるようになったのに…やっと抱きしめてもらえるのに…

「…瑞穂ちゃん?」

抱きしめられたまま、泣いていた。よし先輩がいつものように頭を撫でてくれている。

「やっぱり泣かせちゃったな…」

ううん。と頭を横に振るけど、涙は流れたまま止まらなかった…
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