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近づきたい
第7章 遠距離の日
「ああ、久しぶりにまともな休みだよ。瑞穂ちゃんは今、大丈夫なの?」

「うん。大丈夫。」

本当は週明け提出のレポートを書きあげるつもりで大学の図書館へ行く予定だった。

でも、それよりも今はよし先輩との電話の時間を大事にしたい。

「そっか。瑞穂ちゃん、ずっと忙しくてごめんね…
新人も入ってきて、バタバタしちゃってさ。全然余裕がないんだ…」

そう言うよし先輩の声はやっぱり疲れているみたいで心配になる。なんで声にしか触れられないんだろ。
私がよし先輩の側にいれたら、何でもしてあげるのに…

「よし先輩、疲れてるね…私と電話してないで休んだ方が…」

「もう話したくないの?」

私の話を遮るように聞こえたよし先輩の声はちょっと怒っているようだった。

「…ち、ちが…。」

「やっと電話する時間ができたんだ。ずっと瑞穂ちゃんのこと、考えてたんだ。それなのに。」

私の声が聞こえてない…ただ私はよし先輩の体が心配なだけなのに…
よし先輩と話したいに決まってる!

なんで私の気持ちが伝わらないんだろ。とすごく哀しくなって、電話を持ちながら涙が出た。

「…なんで泣いてるの?…もう切るよ。今日は一日家にいるから何かあったら電話して。」

プープーと耳に聞こえる。
電話切られちゃった…なんで…なんで…なんで…

私の話も聞かずに電話を切られたことにショックで、よし先輩の怒った声が耳に残って、ただ泣き続けた。


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