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近づきたい
第8章 すれ違いの日
よし先輩からの電話に嬉しくなり、その場の友人達に電話してくると言って、席を離れた。

それでなくても賑やかな店内。お店から外に出て、よし先輩の電話に出る。

「もしもし。」

「瑞穂、出かけてるの?」

ちょっと酔ったような口調のよし先輩…あまり酔ったよし先輩を知らないから、戸惑ってしまう。

「う、うん。大学の友達とディスカッション後にご飯食べてるの。義朗さんはもう家なの?」

最近、やっと義朗さんと呼べるようになった。私の中ではまだよし先輩のままだけど…

「いや、オレも飲んでるんだ。帰り遅くなりそうだから、電話したんだ。」

「そうなんだ。私ももう少しかかりそう…」

「瑞穂…」

よし先輩が何か言いかけた時にお店から男友達が顔を出して、私に声をかけた。

「瑞穂ちゃ~ん、まだ~?」

ちょっと酔って笑いながら話す声が大きくて、よし先輩に聞かれたくなくて、慌てる…

「今行くから!」

怒った口調になって、男友達が店内に戻っていく。

「男もいるのか?」

「うん、みんなで8人くらいで食事してるの。」

何故かよし先輩の声が怒ってるみたい。
はぁ。と、ため息も聞こえる。

「そっか。気をつけて帰んなよ…」

そう言って切れた電話がプープーと音だけ残した。

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