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近づきたい
第8章 すれ違いの日
落ち着いたら連絡くれるはず…でも、今日はもう我慢できなかった…

よし先輩に電話をかける。またコールだけが鳴り続ける…
今日も繋がらないかもしれない。電話、待てなくてごめんね。

もう切ろう…そう思った時に耳に届いた愛しい人の声。

「もしもし。」

「義朗さん、電話ごめん…」

はぁ。と、ため息が聞こえる。あっ、やっぱり待たなくちゃいけなかったよね。

「いや、オレが悪いんだ…電話もメールもできなくてごめん。」

「ううん。義朗さんの声、どうしても聞きたくて。ごめんなさい。」

「もう少しで落ち着くから…待って……」

「よし先輩、時間ないんだから電話出ないでくださいよぉ。」

よし先輩の電話の向こうで可愛らしい女の人の声がする。しかも、よし先輩って呼んでる……

「誰のせいで休出して残業続きだと思ってる!」

電話の向こうでよし先輩が女の人に怒ってる。

…でも、全然怒ってるように聞こえないよ。

「義朗さん、もう切るね…じゃあ…」

「 ああ、本当ごめ…」

よし先輩の言葉の途中で電話を切ってしまった。

この前のよし先輩と同じことしちゃったかも…

ヤキモチかな?ううん、それよりもっと哀しい…

私は全然会えないのに、隣にいる女の人は休みも残業中も一緒にいられるんだ。

よし先輩の隣は私の場所のはずなのに…優しい声は私のものなのに…

今日はよし先輩がすごく遠い…

彦星と織姫は今年、天の川で会えた?
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