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近づきたい
第8章 すれ違いの日
よし先輩はあの日からメールをくれる。でも、【おやすみ】だけ…

その一言だけが私を苦しくする…

時間をちゃんと取って話せたのはあの日から一週間後だった。

私のアルバイト中にあったよし先輩からの着信。
普通なら仕事をしている時間…一日休んだのか、午後から休んだのかわからないけど、たぶん家にいるんだろう。

また疲れて寝てるなら、それでいい。でも、やっぱり声が聞きたくて…家に着いてすぐに電話を入れた。

「もしもし。瑞穂?」

「うん、電話しちゃったけど大丈夫?」

ちょっと眠そうな声、やっぱり寝ていたんだ…

「大丈夫だよ。ずっと連絡できなくてごめん。」

「ううん。」

優しい声が嬉しい…けど、この前の電話を思い出して、切なくもなる。

あの女の人、誰?あの人にも優しい声だったよ…

嬉しいはずのよし先輩との電話で、そんな嫌なことを考えてる自分が嫌いになりそう…

「瑞穂?どうした?」

「ううん。大丈夫…今日バイトだったからちょっとボーっとしちゃった。」

とっさに着いた嘘がまた自分を嫌いにさせそうだよ。

「この前、ごめんね。新人のトラブルに巻き込まれたんだ。オレだけじゃないんだけど…何日もかかって、やっと落ち着いたよ。」

「うん…お疲れ様でした。義朗さん、今日休みだったの?」

「ああ、休みで瑞穂にさっき電話かけるまで寝てたんだ…バイトだったのに、電話してごめん。」

私もこの前、仕事中に電話しちゃったよ…。

いつも私達、時間が合わないね…
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