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近づきたい
第9章 雨の日
「…ありがとう。じゃあ。」

雨で濡れたところを拭いた私に御礼を言って、渡部君は帰っていった。

なんでこの人は真っ直ぐ私に言葉や想いをぶつけてこれるんだろう?

私もよし先輩も言いたいことや思ったこと、口にしないタイプかもしれない…

そんな渡部君に戸惑いながらも、私も素直にもっとワガママになれたらいいのに。

いろいろなことを考えてると、時間はあっという間に過ぎていく。何日かして、予定していた帰省の日を迎えた。

その後、大学に行っても渡部君に会うことはなかった。彼も帰省したのかもしれない…

久しぶりに降り立った地元の空港…迎えに来てくれた父と母は嬉しそうで、私まで嬉しくなる。

ただ母は私の顔を見て、心配そうにしてる…

「瑞穂、ちゃんとご飯食べてる?痩せたみたいだし、疲れたように見えるわよ。」

「うん、大丈夫。最近、ちょっと忙しかったから。」

そう…と呟くけど、たぶん納得していない。
母は全てお見通しなのかもしれない…電話でも私がつらい時はすぐバレた。

今日、帰省することはよし先輩にメールしておいた。

【楽しみにしてるよ。ただ仕事でいつ会えるかわからない。また連絡するよ。瑞穂、愛してるよ。】

よし先輩の返信は予測してた。
『愛してる』とメールで言われても、最近は何も感じない…
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