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近づきたい
第9章 雨の日
土曜日11時、いつもの場所でよし先輩を待つ。

前は3月でまだ長袖の洋服だったけど、もう7月…ノースリーブの白のワンピースを選んで、その上に七分丈の薄手のカーディガンを羽織った。

卒業式後に開けたピアスもシンプルな物から、可愛い物を着けるようにもなっていた。

そういえば、よし先輩、私にピアスをプレゼントしてくれるって言ってた。

前に会った時より少しは大人っぽく見えるかな?
よし先輩の隣にいても可笑しくないかな?
少し、近づけたかな?

よし先輩を待ちながら、いろいろなことを考える。昨日抱いた不安な気持ちは今朝はなかった。会えることが嬉しかったから。

時計を見て、もう待ち合わせから15分過ぎている。

よし先輩が待ち合わせ時間に遅れるのは初めて…。

連絡を入れるか携帯を持ち、悩んでいると、よし先輩の車が私の前で止まった。

「遅れてごめん!」

いつものように車の中から助手席のドアを開けてくれた。私に向けられている笑顔が優しくて、私まで笑顔になった。

「ちょっと用事済ませてたら遅くなって。暑い中、待たせちゃって、ごめん。」

「大丈夫ですよ。ちょっと暑かったけど…」

ちょっと笑った私に申し訳なさそうな顔をするよし先輩。

少しだけ意地悪させて。今は私だけにいろいろなよし先輩を見せて…
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