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近づきたい
第1章 夏の日
「風呂、サンキュ。さ~て、トランプだっけ?」

お風呂上がりの濡れた髪。私と同じくTシャツとハーフパンツ姿。私と違って、男の人なのにセクシーだ。

「ん?瑞穂ちゃん、オレたち同じ格好だね。やっぱり兄妹みたい?」

さっきまで赤かった顔がまた赤くなった…と思う。

「え~、ユウが先輩と兄妹だったら良かった!お兄ちゃん、全然かっこよくないし、優しくないし、いつも小さいって頭叩くんだよ~」

ユウの話で、ユウとお兄さんが喧嘩を始めた。

「あはは、トランプできないじゃん。瑞穂ちゃん、二人でババ抜きでもしてようか?」

「う、うん」

兄弟喧嘩のユウとお兄さんをそのままに、先輩とババ抜きをしながら、また少しずつ話しをした。

「兄弟喧嘩したことないから、羨ましいよな~。でも、瑞穂ちゃんが妹だったら喧嘩とかならない気がする。まあ10歳も年違って喧嘩してたら、オレやばいか」

先輩はまた優しく笑う。お風呂上がりで喉が乾いたのか、飲み物を飲んでる…私は先輩の喉仏をまた見ていた。

「オレさ、夏休み終わったら海外行くんだ。短期の語学留学。就職決まってるし、卒論もまあまあ順調だしね。その前にあいつが遊びたい!ってうるさいから遊びに来たんだけど…
瑞穂ちゃんにも会えたし、楽しいよ。マジで」

「私も先輩と遊べて楽しかったよ」

ニコニコとしていた先輩が更に満面の笑顔になって、私もつられて笑う。

「やっと笑った…まだ子供なんだから、ニコニコしてればイイのに」

あっ、今傷ついた…やっぱり私は先輩から見たら子供なんだね。
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