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近づきたい
第9章 雨の日
「瑞穂、風邪ひくよ。それに濡れた瑞穂がセクシー過ぎる…」

「フフフ…義朗さん、どうしたの?」

いつの間にか上半身裸のよし先輩が私の背中にぴったりくっついて、抱きしめる力を強める。

「瑞穂。風邪ひくからシャワー浴びておいで。」

「…うん。」

そう答えてもよし先輩は私を離してくれなかった。

「義朗さん、どうしたの?」

再びよし先輩に問いかけるけど、何も答えてくれなかった…

部屋のエアコンがきいてきて、濡れた体が少し冷えてきた。濡れた洋服が更に私の体温を奪っていく。

よし先輩に抱きしめられているのに、満たされない想い…体が冷えていくのと同じように心が冷たくなっていく…

やっと会えたのに…一緒にいるのに…抱きしめられているのに…やっぱり、よし先輩が遠い…

「義朗さん、寒くなってきた…」

「あっ、ごめん。着替え出しておくよ。」

「着替え…持ってきたから、大丈夫。」

「そっか。」

今日は土曜だから、お泊まりの期待をして少し着替えを持ってきた。まさか雨に濡れて着替えることになるとは思わなかったけど…

お風呂に行くと、よし先輩がお風呂を入れていてくれたみたいで、湯船から暖かい蒸気が出ていた。

よし先輩、ありがとう。心の中で御礼を言って、お風呂に入る…だんだん体が温まってきた。

お風呂に入って少し時間が経った時、部屋からよし先輩の大きなくしゃみが聞こえた。

あっ、よし先輩風邪ひいちゃう!

急いでバスタオルを取って体を拭き、そのまま顔だけ部屋を覗いた。
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