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大きな瞳に映るのは
第19章 告白

― … 駄目だ 、バレる
「 … ダメっ 」
思わず両目をぎゅっと瞑る
『 火傷なら乾かすのが一番です 』
そう言って絆創膏の端を細い指が摘む
不覚にもピクンッと肩が震える
ピッ …
『 … え? 』
奏が絆創膏を剥がすと
まだ赤紫色のソレが姿を現す
… ― バレた。
奏は絆創膏を剥がした時の姿勢のまま
硬直している
私は力なく手を下ろすと俯いた
もう、顔なんて、見れない。
外から運動部の声が微かに聞こえる
しかし美術室は静まり返っていた
『 … 誰ですか 』
沈黙を破ったのは奏だった
これを付けた相手は誰かと聞いているのだろう
しかしながら私は
その質問には答えることができない
絶対に。絶対に口にすることは出来ない。
『 … 誰ですか 』
同じ様に奏が口を開くが
その後に続くのは沈黙だけだった
『 … 言えないような相手ですか 』
動揺が少しだけ和らいだのか
すっと、背筋を戻した
『 … 木下さん。』
『 あなた 、彼氏、いないですよね 』
それまで俯いていた私は
彼氏、いないですよね、という問いに
小さくコクリ、と頷き返した
奏の口から発せられたであろう
はぁ、と小さく吐く溜息が聞こえた

