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大きな瞳に映るのは
第20章 気持ち

『 … キノちゃん? 』
思わずバッと振り返る
「 神谷先輩…! 」
『 やっぱり。久しぶりだね 』
そう声を掛けてきたのは
中学の吹奏楽部のOBで4歳年上の
神谷彰人( かみやあきと )だった。
『 何、楽譜でも探してる? 』
そういう先輩は楽器店の制服を着て
黒縁メガネをしている
髪は茶色く染め上げられ
軽くパーマがかっている
「 先輩、ここで働いてるんですか…? 」
全身に一通り目を通した後口を開いた
『 あー、バイト、俺まだ大学だから 』
そういってばつの悪そうに小声で私に呟いた
神谷先輩とはOB参加型の演奏会でしか共演したことはないが
よく練習時間に中学に来ては後輩にアドバイスをくれる優しい先輩だった。

