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大きな瞳に映るのは
第20章 気持ち

『 相変わらず、可愛いね~ 』
そんな風に神谷先輩は
楽譜を整理しながら私をからかう
『 あ、そうだ。これ 』
そういって神谷先輩は自分の名刺を取り出す
そして名刺の裏に何かを書きこんだ。
「 …? 」
様子をただただ不思議そうに見つめていると神谷先輩が満足げに名刺を手渡した
『 もしよかったら今度ご飯でも。
裏の、俺の番号だから。 』
大学生と、ご飯。
その単語だけでまるで大人になったかのような気分になる。
心臓がドキリと跳ね上がった。
「 あ … ありがとうござ …
『 んんっ … 』
お礼を言いかけ名刺を受取ろうとした時
わざと大きく咳払いするようかのように
男の人が一人、私たちの横を通り過ぎた
そう。私が後を追っていた
一之瀬遙が。

