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大きな瞳に映るのは
第22章 彼の思考回路

翌日。
学校へ登校すると
たまたま校門の所で遙と麗先輩の姿が見えた。
( … 気まずい … 気づかれないよう …
そう思いながら俯き加減に
急ぎ足で校舎を目指す。
『 あれ?木下音夢じゃね? 』
後ろから私に届くボリュームで遙の声が聞こえ
おもわずピクリと歩みを止め振り返った。
『 ほら!やっぱりなー!… ってあれ? 』
自転車を牽く遙が目を丸くして
私の事をじっと。真っ直ぐみつめる。
麗先輩も遙の様子を見たあと
同じ様に私の事を見た。
『 木下音夢。今日なんか、可愛くね? 』
『 ちょっとハル!なに口説いて …
『 … 切った? 』
遙が自分の前髪を指差しながら
私に質問してきた。
きっとこれは、私が自分の前髪を切ったか、という質問だろう。
ほんの僅か数センチ。
昨日入浴後に切っただけなのに。
遙は真っ先に気が付いてくれた。
そんな小さなことが少し嬉しくて
コクリと頷くと
『 だろー?!どおりで可愛いと …
『 ちょっとハルくん! 』
怒り気味で麗先輩が遙に言葉を交わしている
少し申し訳なくなった私は、じゃあ、と右手を遙に見せると
遙はチラリと麗先輩からわたしに視線を写し満足げな微笑みをむけてくれた。

